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お知らせ

埼玉土建の歴史と活動㉚~建設労働組合運動の発展めざし―仲間の声と組合力で現場を変える

【埼玉土建本部】

つぶやき(学習)

不定期で、埼玉土建の歴史と活動(ダイジェスト)を紹介していきます。
皆さんに埼玉土建の事をもっとよく知っていただけると嬉しいです。

【第30回】仲間の声と組合力で現場を変える

2017年(平成29)3月、新国立競技場の工事現場で、23歳新卒の現場監督が過労自殺していたことがわかりました。亡くなる前1カ月は、211時間56分の残業でした。さらに18年1月、東京五輪選手村建設現場で、クレーン車による事故で作業員が死亡する事故が発生し、工期最優先で、安全衛生対策がおざなりになっている事態を浮き彫りにしました。
組合は、7月から首都圏の組合と「命と健康、安全の確保と改善を」要求し、宣伝行動を実施、10月には、大手企業交渉の場で、元請の大成建設と交渉にのぞみました。
2018年7月、千葉土建の仲間の訴えで明るみとなった「東京丸の内3-2計画現場」(元請・大成建設)は、真夏の40度を超えるなかでの作業や、詰所にはクーラーもなくタコ部屋のような状況で、無理な工程と長時間・過密労働が押し付けられ、労働環境は劣悪でした。そのうえ監督らの暴言・怒号、凄まじいパワハラなど、労働者の人権を無視した「最低の現場」でした。
埼玉土建は、首都圏の組合の仲間と、7月から、現場を包囲しての宣伝活動やアンケート配布、直接の聞き取り、ツイッターによる情報交流、大手企業交渉での追及、監督署要請などに取り組みました。

◆チョット補足
新国立競技場の工事現場は、朝6時30分からの新規入場者教育が、7時30分からに改善され、産業医の配置も実現しました。
なおこの時期、新国立競技場をはじめオリンピック・パラリンピック施設の建設現場には、埼玉土建の仲間28人が働いていました(17年7月「AKGアンケート」)。
東京丸の内3-2計画現場」では、組合が宣伝した翌日から、朝礼の雰囲気がガラリとかわり、宣伝行動を積み重ねるなかで、現場の状況が少しづつですが明らかに改善しはじめ、クーラーや製氷器、冷水器が設置され、どう喝的態度も変わりました。「仲間が声をあげ、組合が一緒になって動くことで、現場を変えられる」ことを示すたたかいとなりました。

建設キャリアアップシステム」に対応して

2015年(平成27)8月、国土交通省に、建設技能労働者の経験を蓄積するシステムを検討する会議が設置され、日建連、全建総連も加わり議論が開始されました。18年度には、建設技能者の資格・実績などに応じた適切な評価が受けられ、現場管理・工事の効率化、品質向上などを図ることを目的に、「建設キャリアアップシステム(CCUS)」導入の準備がはじまりました。日建連は、「建設キャリアアップシステム」を「担い手確保や働き方改革に資する画期的なもの」と位置づけ、23年3月までにすべての「事業者・技能者の登録」を完了する、登録しない職人は、現場に入場できなくなると発表しました(「推進方策ロードマップ2017」)。
組合は、この「建設キャリアアップシステム」をつかって、建設労働者の労働条件・処遇改善、賃金・単価引き上げ、法定福利費の支給、安全衛生対策、仕事確保や職域防衛、担い手確保などすすめるため、対応を強めてきました。
18年6月に技能者・事業者登録が開始され、19年4月に本格運用がはじまることから、組合は、仲間の登録を推進する取り組みをすすめ、「認定登録機関」に対応できるよう本・支部で学習会を積極的に開催し、準備をすすめてきました。

◆チョット補足
「建設キャリアアップシステム」は、ID カードが用いられ、本人の現場ごとの就労実績や技能・資格の保有、講習や研修の記録、社会保険加入などが記録される仕組みです。このことで技能者の経験などが業界統一のルールで記録され、適切に評価され、様々な処遇の改善に結びつけようとするものです。
こうして働いた経験が、社会的に正当に評価されることによって、働く人、特に若者にとって魅力ある産業として変わり、期待がたかまることを展望しています。
このID カードには事業者の情報も登録され、その施工力や人材育成、地域貢献などが、見えるようになり、受注機会の拡大にもつながります。また、下請として選ばれるうえで、価格だけの選定から、技術力、有資格者の有無、施工能力が重視されるようになります。

【第1回】埼玉に自分たちの組合を
【第2回】日雇健保改悪、犠牲適用廃止とのたたかい
【第3回】埼玉土建国保設立、総合共済の発足~9支部 4085人で埼玉土建を結成
【第4回】埼玉土建結成の意義
【第5回】埼玉に根をひろげて発展①
【第6回】埼玉に根をひろげて発展②
【第7回】埼玉に根をひろげて発展③
【第8回】埼玉に根をひろげて発展④
【第9回】埼玉に根をひろげて発展⑤
【第10回】埼玉に根をひろげて発展⑥
【第11回】国民的要求で共同の前進①
【第12回】国民的要求で共同の前進②
【第13回】国民的要求で共同の前進③
【第14回】建設産業民主化、危機打開のたたかい①
【第15回】建設産業民主化、危機打開のたたかい②
【第16回】建設産業民主化、危機打開のたたかい③
【第17回】建設産業民主化、危機打開のたたかい④
【第18回】建設産業民主化、危機打開のたたかい⑤
【第19回】運動領域の拡大、社会的運動の発展①
【第20回】運動領域の拡大、社会的運動の発展②
【第21回】運動領域の拡大、社会的運動の発展③
【第22回】運動領域の拡大、社会的運動の発展④
【第23回】運動領域の拡大、社会的運動の発展⑤
【第24回】運動領域の拡大、社会的運動の発展⑥
【第25回】建設労働組合運動の発展めざし①
【第26回】建設労働組合運動の発展めざし②
【第27回】建設労働組合運動の発展めざし③
【第28回】建設労働組合運動の発展めざし④
【第29回】建設労働組合運動の発展めざし⑤

 

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