総選挙(2026年2月8日投開票)で大勝ちした高市自民党。公約に掲げていた「食料品の消費税率0%」はどうなったのか?
高市政権は、社会保障と税の一体改革を議論する超党派の会議体「国民会議」を招集していますが、そのメンバーのなかに消費税減税や廃止をめざす人はいません。さらに、過去の社会保障制度改革国民会議の例では、報告書作成まで約8か月かかっていて、緊急的に国民の懐をあたためるものにはなりません。
「食料品の消費税率0%」の何が問題か?
食料品の消費税を0%にしても食料品の物価は、、、なんと下がりません。多くの人々は、今8%の税率が0%になったら、商品の価格も8%下がると思っていますが、そうはなりません。
なぜなら、消費税という税金は消費税分を本体価格に上乗せして消費者から取らなくてはならないという義務も保証もないからです。たしかに8%から10%に税率が引き上げられたとき、ほとんどの店や企業がその分、価格を2%上げました。しかし、上げたのは法律上の規定ではありません。法的には単なる「便乗値上げ」なのです。
では税率が下がったら、どうなるでしょうか?店や企業は値段を下げる義務はありません。つまり「下げる、下げないは店や企業の判断次第」なのです。
飲食店は大変なことになる!
食料品が消費税0%税率になったとしたら、飲食店は消費税分の納税額が増えて経営が成り立たなくなります。
飲食店は、1年間の売上高に10%の消費税がかかります。今は、そこから食材仕入れにかかる消費税が引けますが、0%税率では、それがゼロになり、引けなくなります。消費税の納税額が途端に多くなります。簡易課税を選択していても、現在のみなし仕入れ率が改悪される可能性も大いにあります。
誰が得をするのか?
それは大手食料品メーカーです。サントリーなどの大手食料品会社は、消費税を払わなくなるばかりか還付金がもらえます。
消費税には輸出ゼロ税率制度があり、トヨタなどが巨額の還付金をもらっているのはよく知られています。食料品ゼロ税率も、この仕組みと同じように、還付金をもらえることになるのです。この還付金は税金が戻る仕組みですが、実態は政府からの補助金と同じです。端的に言えば、食品消費税ゼロは食品会社に補助金を与えるための制度といえます。
今必要なことは?
インボイス制度導入の際、政府は盛んに「複数税率になったから、インボイスが必要だ」と主張しました。食品消費税ゼロが導入されれば、「正確な仕入税額控除のためにインボイスが、ますます必要だ」と言うでしょう。食品消費税ゼロは、インボイス制度の固定化をますます助長します。税率が増えれば増えるだけ、経理の事務作業は大変になります。複数税率をやめれば、インボイス制度は必要ありません。今すぐインボイス制度廃止に舵を切るべきです。
消費税は預り金ではない!
消費者が店で払ったと思わされている消費税分は、そのまま税務署に行きません。消費者が店で払った消費税分は税金ではなく、物価の一部なのです。レシートに書いてある8%や10%は税金ではなく、店の預かり金でもありません。物価の一部です。税務署・財務省は「消費税は間接税」と言いますが、本当は企業の付加価値(ざっくり言えば粗利)に課税する外形標準に対する直接税です。粗利に課税するので、赤字でもかかる第2法人税と言ってもいいでしょう。こうした性質を持つ消費税は、典型的な不公平税制であるため、滞納第1位の税金となっています。消費税がなくなれば、中小企業やフリーランスが、赤字でも納税しなければならない恐怖から解放され、経営環境は好転します。従業員の賃金も上げることができ、消費税導入以来、低迷を続けてきたわが国の景気を好転させることも可能になります。財源も心配することはありません。応能負担原則に基づき、大企業や富裕層に応分の負担を求めれば、消費税廃止財源は十分確保できます。

