自民党、日本維新の会、国民民主党の3党が、衆議院議員の定数を31議席削減することで合意しました。削減の対象となるのは、現在465議席ある衆議院のうち、比例代表の176議席です。小選挙区289議席はそのまま維持し、比例代表だけを31議席減らすという内容です。3党は10月29日に正式合意し、今国会への法案提出を狙っています。
しかし、そもそも国会議員の定数を削減する必要があるのでしょうか。そして、なぜ削減するのが小選挙区ではなく比例代表なのでしょうか。
比例代表は国民の多様な声を届ける制度
現在の衆議院選挙は、小選挙区比例代表並立制を採用しています。小選挙区制は、1つの選挙区から最も多くの票を獲得した1人だけが当選する仕組みです。そのため、2位以下の候補者に投じられた票は議席に結びつかず、いわゆる「死票」が大量に生まれます。得票率では過半数に届かなくても、議席の大半を占めることができるなど、実際の民意と議席数に大きな隔たりが生じる問題があります。一方、比例代表は、政党の得票数に応じて議席を配分する制度です。小さな政党や、特定の地域では支持が少なくても全国的に一定の支持を得ている政党にも、議席獲得の機会があります。
つまり、比例代表は、大政党だけでなく、少数政党やさまざまな立場の人々の声を国会に届けるための重要な仕組みです。その比例代表だけを31議席も削減すれば、少数政党の議席獲得はさらに難しくなり、国民の多様な意見が国会に届きにくくなります。小選挙区制の弊害を補うはずの比例代表を縮小することは、選挙制度のバランスを崩し、民意の反映をさらにゆがめることにつながります。
議員を減らすことが政治改革なのか
議員定数削減の背景には、政治改革や身を切る改革という言葉があります。しかし、政治への不信感を解消するために、国民の代表である議員の数を減らすことが本当に必要なのでしょうか。国民が求めているのは、政治家が自らの責任を明らかにし、国民の声を政治に反映させることではないでしょうか。政治資金の問題や企業・団体献金のあり方など、政治への信頼を取り戻すために取り組むべき課題はほかにもあります。人口減少を理由に議員を減らすという説明もありますが、人口が減れば国民の抱える問題や政治に求める役割まで減るわけではありません。むしろ、地方の過疎化や高齢化、物価高、社会保障など、国民の声を政治に届ける必要性は変わりません。国会議員は、国民一人ひとりの声を国政に届ける代表者です。その数を減らし、比例代表を縮小することは、国民の政治参加の機会や多様な民意を反映する仕組みを狭めることになりかねません。
いま必要なのは議員の数を減らすことではなく、国民の声が正確に届く選挙制度に改めることです。私たちの声が届く国会を実現するためにも、今回の比例代表31議席削減について、その問題点を広く共有し、選挙制度のあり方を考えていく必要があります。

