平和憲法を持つ日本。その日本がどのような時に「武力行使」するのか。
1972年の政府見解に基づく自衛権発動の「旧三要件」
①我が国に対する急迫不正の侵害があること
②これを排除するために他に適当な手段がないこと
③必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと
2014年の閣議決定により変更された「新三要件」
①日本と密接な他国が攻撃され、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある
②これを排除するために他に適当な手段がないこと
③必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと
1972年の旧三要件は、内閣総理大臣・田中角栄の時に確立され、2014年の変更まで約42年堅持されてきた。
この政府見解を2014年に新三要件にあらためたのは、内閣総理大臣・安倍晋三の時で、当時の安全保障環境に照らして慎重に検討した結果だとされている。
新旧の三要件の違いは、見ての通り第一要件だ。
旧三要件では「日本への直接攻撃」限定であったのに対し、新三要件では「同盟国などが攻撃され、日本の存在が脅かされる「存立危機事態」でも武力行使が可能であるとしている。
日本が現在、軍事を結んでいる国はアメリカ(日米安全保障条約・1952年~現在)だけであるから、新三要件の第一要件は「アメリカが攻撃され、そのことがにより日本の存在が脅かされるとき」と読んで問題ないのであろう。
つまるところ、専守防衛を是としてきた自衛隊の任務が、アメリカが引き起こす戦争への協力も可能であるとされてしまった。

武力行使の要件が帰られてしまった時に「安全保障環境」への対応だったとされた。
現在の安全保障環境を調べてみると、次のようなものが挙げられている。
・インド太平洋地域の緊張(中国による軍事力の近代化と海洋活動の活発化)
・北朝鮮の動向(ミサイル・核兵器開発への懸念)
・新しい戦い方への対応(宇宙・サイバー・電磁波どの領域や、無人攻撃機への対処)
・防衛力の抜本的強化(反撃能力の強化)
・同盟国・同志国との連携(日米同盟の抑止力の堅持、防衛装備移転三原則の改定)
これらからして日本を取り巻く安全保障環境の変化は「防衛力の抜本的強化と日米同盟の抑止力の向上が不可欠」な状況だとされている。
まさに「軍事力に対応するために日本の軍事力を高めなければいけない」という論調につながる。

日本には憲法九条があるというのに……

日本国憲法 第二章 戦争の放棄〔戦争の放棄と戦力及び交戦権の否認〕
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
自衛隊について現在の日本国民の認識、気分感情を考えれば「違憲」だうんぬん言うつもりはない。
ただ、1945年の終戦以来80余年、日本が戦争に巻き込まれてこなかったのは憲法九条が、外国諸国の要請を跳ね返し、政府の平和主義に反する過ちを抑え込んできたのは、まぎれもない事実だ。
「普通の国になる」とは。
ちなみに「反撃能力の強化」とは、ちょっと前まで「敵基地攻撃能力」と言われていた。再攻撃を防ぐために攻撃してきた国の領土内を攻撃できると主張している。
そして本日、前述の「防衛装備移転三原則」を閣議決定で撤廃したというニュースが流れている。
政権幹部が「普通の国になるだけだ」と話しているとか。
憲法九条という「世界に稀なる平和への理想を掲げた国」が普通の国になる?
やめてほしいものだ。
