お知らせ
「国家情報局」とスパイ防止法――私たちの暮らしに何が起きるのか
【埼玉土建本部】
つぶやき
高市首相は、衆院選後の記者会見で「国家情報局」の設置に向けた法案を特別国会に提出すると表明しました。内閣情報調査室を格上げし、警察・外務省・防衛省・公安調査庁などに分散している情報機能を首相直属のもとに集約するというものです。
一見すると「安全保障の強化」に見えるかもしれません。しかし、この構想は「対外情報庁」の創設や「スパイ防止法」の制定と一体で進められようとしています。ここにこそ、私たち一人ひとりの生活に直結する重大な問題があります。
■ 監視社会は遠い話ではない
「スパイ防止法」は、外国勢力によるスパイ活動を取り締まるとされています。しかし、何が「スパイ的行為」にあたるのか、その定義が広く曖昧になればどうなるでしょうか。
・政府の政策に反対する市民運動
・軍拡や増税に疑問を呈する発言
・外国メディアとの取材や情報交換
・SNSでの批判的な投稿
こうした行為が「外国の影響」「国家安全への脅威」と拡大解釈されれば、監視や摘発の対象になる可能性を否定できません。
戦前の日本では、治安維持法が思想・言論を弾圧する道具として使われ、多くの市民や知識人が投獄されました。米国でも第一次世界大戦期に制定された「スパイ防止法」が、徴兵に反対する言論弾圧に用いられた歴史があります。
歴史は「安全のため」という名目が、自由を狭める口実に変わり得ることを示しています。
■ 暮らしへの具体的な影響
もし情報機関が強大化し、監視権限が拡大すれば――
- 報道機関の取材活動が萎縮する
- 内部告発がしにくくなる
- 公務員や教員の思想・発言がチェックされる
- 市民団体の活動が監視対象になる
- SNS投稿やメール通信が分析対象になる
「自分は関係ない」と思っていても、子どもの学校教育、職場での発言、地域の集まり、ネット上のやり取りなど、私たちの日常そのものが影響を受けかねません。
自由に物を言えない空気は、経済や文化、学問の発展も止めます。企業も研究者も、市民も、萎縮した社会では生きづらくなります。
■ 国民的議論なしに進めてよいのか
自由民主党と日本維新の会の連立合意に盛り込まれたとはいえ、選挙戦でこの問題の具体像が十分に語られたとは言えません。
「安全か、自由か」という単純な対立ではありません。
安全保障は必要です。しかし、それが憲法の保障する言論・報道・思想信条の自由を侵してよい理由にはなりません。
民主主義とは、権力を強める前に、徹底した情報公開と国民的議論を尽くすことです。
私たちの問題として考える
物価高騰、社会保障、教育・子育て、地域経済――多くの課題が山積するなかで、国家権力の監視機能を大きく拡張することが最優先課題なのでしょうか。
一度成立すれば、強大な権限は簡単には戻せません。
影響を受けるのは「特定の思想の人」だけではなく、社会全体です。
だからこそ、この問題は一部の政治家や専門家だけの議論にしてはなりません。
自由に話し、集まり、考えることができる社会を守るのかどうか――それは、私たち一人ひとりの未来に関わる選択です。
今こそ、広く議論を起こし、慎重な審議と国民的合意を求めていくことが必要ではないでしょうか。








