【送検事例】浴室洗浄中に換気怠る【神奈川・横浜南労働基準監督署】

【事故の概要と問題点】

 本件事故は、令和7年4月17日、横浜市内の共同住宅において発生した。労働者が退去後の室内浴室を洗浄中、使用していたシンナーから発生した蒸気を吸入し、倒れ、有機溶剤中毒により死亡したものである。当該浴室はもともと閉鎖性の高い空間であったうえ、折戸式のドアを閉めた状態で作業が行われたことにより、内部は密閉状態となり、有機溶剤の蒸気が滞留・高濃度化したと考えられる。

 本事故の主たる要因は、(有機溶剤中毒予防規則)第5条に定める換気措置が適切に講じられていなかった点にある。同条は、有機溶剤作業において、局所排気装置や全体換気装置の設置および有効な使用により、作業環境中の有機溶剤濃度を低減させることを義務付けている。

 しかし本件では、換気扇の使用や送風機の設置、ドアの開放といった基本的な換気措置が講じられないまま作業が行われており、結果として危険な濃度の蒸気が短時間で充満する状況を招いた。以上のことから、閉鎖空間における有機溶剤使用時の換気確保が徹底されていなかったことによる、重大な安全管理上の問題である。