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VOICTONにインタビュー

【埼玉土建本部】

税金

 

甲斐田裕子さん

咲野俊介さん

福宮あやのさん

 

インボイス制度に反対する声優などでつくるVOICTIONの甲斐田裕子さん、咲野俊介さん、福宮あやのさんに声優の働き方やインボイスに反対する思いなどを聞きました。

声優の働き方は?
(甲斐田)基本はアニメのアフレコと、映画の吹き替えがメインです。
(咲野)多いのは事務所に所属して、専属業務委託契約みたいな形。クライアントから依頼が来て、事務所がスケジュールを調整して、それでお金もクライアントから事務所を通して入ってきます。

スタジオでの仕事はどんな風に?
(甲斐田)コロナ前は、出演している人、10~20人が全員集まって、30分アニメだったら、10時~15時の枠で4~5時間の収録ですね。みんなでマイクを入れ替わり立ち代わりしながら撮る。ただコロナで、1人1本マイクで最大4人くらいしかスタジオに入れなくなって、今はほとんどが個別収録です。

人気声優に仕事が集中する傾向に
(甲斐田)前は、みんなでいっせいに録るというのが一番の目的だったので、人気ある人に先約が入っていると、その時間に空いている2番手3番手に役がまわって、その人たちも仕事を重ねていく中で、成長していけていたんですけど、今は個別収録なので、1人30分とか1時間とか空いていれば録れてしまうので「この人使いたい」となったら「一日のうち、空いている隙間どっかください」とか「来週でもいいです。まとめて録ります」みたいな形にされてしまう。使う側としては使いたい声優を使えるんですけど、声優側からすると、今まで2番手3番手にいた人に仕事がまわらなくなり、どんどん格差が広がって、成長すればトップに行けた人が成長できぬまま消えていくという傾向がすでに始まってしまっています。

アンケートをやって声優の収入実態もみえてきた。
(福宮)収入実態は、全年齢を合計しても70%以上が年収300万円以下。100万円以下も40%。逆に1000万円以上を稼いでいる人は、4%に留まりました。

4人に1人が廃業を検討するという驚きのアンケート結果も。
(福宮)日々オーディションを受けたり、常に選別されて、そこに落ち続けて少しずつ心が折られている中で、インボイスとなれば「もういいや」となる気持ち、わからなくもない。誰しも輝ける世界ではないとわかっていますから、自分の人生を考えたときに、どこかで区切りをつけるというのはいつも言われていることですけど、それにしても、そのきっかけが税制度だというのは悲しいですよね。
(咲野)若い人が減れば、業界全体の人数が減って、業界全体のクオリティも下がっていきます。すでに不景気でクオリティがどんどん下がっている状態で、それが現場の努力で、ゆるやかになっている。それがどんどん急勾配になっていくだろうと。

VOICTION立ち上げた経過は。
(甲斐田)私は良い作品を世に送り続けたいんですけど、不景気のせいでそうはいっていない現場を多くみてきています。本当に悲しい。このインボイス制度が始まると、そこにアクセルが踏まれてしまう。良い作品を作り続けることを10年後も20年後もしていくためには、この制度はいらないであろうと思ったのが最初です。

根本には政治に原因があると思うが。
(咲野)全建総連のインボイスアンケートを見させていただいて、涙が出ました。収入が減るというのは聞いたけど、一人親方を続けていたいって。その職人気質がすこいなって。僕たちの気持ちとすごく近いんですよ。どんな状況に陥ろうとこの仕事を愛しているから続けたい。ギリギリ踏ん張っているんですよ。今、この不況が続いていても。でもこの不況をまったく知らない人が、僕らが載っている板をグラグラさせているじゃないですか。それがあまりにも腹が立ちますね。

建設職人の技術伝承と重なる部分も。
(咲野)伝承というと大げさだけど、僕らは先輩たちがマイク前に立っている背中をみてやってきた。今はもうその背中が見られない。本人の努力である程度できるかもしれないけど、でもやっぱり僕らの商売って言霊を信じてやっているんで。その言霊が先輩の背中から、隣のマイクから飛んでくることで、刺激される部分が一番大きい。この先、このまま分散収録が続き、インボイスが導入されると、そういうものもなくなって、金額以上のものがつくれなくなっていきます。

連帯して取り組む意義は。
(甲斐田)本来、私たちって一匹狼でやってきた人も多くいますが、それでよかった時代は終わってしまって、一人でいると国が攻撃してくるみたいな状態で、一人ひとりの力では対抗できないけど、横で手をつなぎ一人じゃないんだと。若い人たちって無関心の人が多いんですけど、そうじゃないんだと。無関心なのも、あきらめからきていることが多いので、声を上げれば変わるんだというきっかけにしたい。日本全体の風向きが変わるかなと期待を抱いてがんばっています。

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