「民主主義」文部省著作教科書(角川ソフィア文庫)
先日、全労連の黒澤幸一議長が講師をつとめるオンライン学習会に参加した際に薦められた一冊です。
この本は戦後間もない1948(昭和23年)、文部省が新憲法の施行を受けて中高生向けに著した教科書になります。新しい憲法のもと、民主主義をこれからの社会に根づかせようとした時代の熱意が伝わってきて、内容は選挙や多数決にとどまらず、社会生活、経済生活、労働組合の役割にまで及びます。民主主義とは、単に多数決で物事を決めることではなく、一人ひとりを尊重し、自由に意見を交わし、協力して社会をつくることなのだと、中高生向けの優しい言葉で教えてくれます。
政治への不信や社会の分断が深まる今だからこそ、読み返したい一冊です。戦後の人々が未来に託した願いを受け止めながら、私たちはどんな社会をめざすのか、民主主義をどう守り育てていくのか。ぜひ本書を手に取り、考えるきっかけにしてみてください。

10月19日の国会前集会
特に「第十章 民主主義と労働組合」が設けられ、民主主義と労働組合の深い関わりが説かれています。働く人の賃金や労働時間、仕事の条件は、本来、労使が対等な立場で話し合って決めるべきものです。しかし、一人の労働者が雇い主に自分の要求を伝えても、立場の違いから十分に受け入れられないことがあります。そこで、働く人たちが団結し、共通の要求を掲げ、交渉するために労働組合があります。組合は、個人では実現が難しい要求を集団の力で実現し、働く人の権利と生活を守る役割を担っています。
私たち埼玉土建でも、賃金や労働条件の改善、適正な請負単価の確保、安心して働き続けられる環境づくりなど、個人の努力だけでは解決できない課題に、仲間と力を合わせて取り組み、組合員の声を集め、行政や社会に届け、制度や政策の改善を求めることも、暮らしと仕事をよりよくするために活動しています。
民主主義は、選挙で一票を投じるだけで完成するものではありません。一人ひとりが声を上げ、話し合い、力を合わせて社会を変えていくことが必要です。労働組合は、職場や地域から民主主義を実践する場でもあります。本書を通じて、組合に集うことの意味と、仲間とともに行動することの大切さを、あらためて考えてみませんか。


